"根無し草のように自分を感じたことがあって、
パリにいてこれをやっているんだと納得できる証がほしかったんです。
フリーでやっているのは不安でした。
自分の店を持ちたいという気持ちが強かったんです。
そうすれば、これをやっているという納得が自分にできるわけですから "
店を開くにあたり、難関の審査を受けてフランス工芸家協会の会員になった。
会員として認められた時、自分が職人としてフランスに登録されたことを強く意識した。
これは、自分の大きな自信につながっていったと言う。
現在もフランス工芸家協会の日本人正会員は、彼一人だけである。
同じ年、"ビジョルカ"に参加。業界の注目を浴びる。
ロンドン、ミラノで開かれる見本市に出品。
パリから世界へと広がっていった。
並行してファッションショーの仕事もするようになり、徹夜で作品を仕上げる日々が続く。
好きなものを作る喜びは大きく刺激的で華やかな時期でもあった。