IKUOのひとりごと 〜フランス便り〜

<2008.5.18 File No.5>

風薫る5月


天気の悪かった4月が過ぎると同時に、好天気の続く5月がやって来た。
日本同様、フランスでも祭日の多い時期で、何度かロング・ウィークエンドが続いて
夏のバカンス前の一休み、と言った感じだ。
最後のロング・ウィークエンドは5月8日(木)フランスの第2次大戦終戦記念日で
12日(月)が聖霊降臨祭、復活祭後の第7日曜日に当たるので、月曜日が祭日となる。

丁度、高校生に当たる17歳の若者2人がメイエ村に来たので、早速質問。
4月末から17歳中心に、高校生がデモをして、授業閉鎖などで大きく社会記事と
なっているが、学校ではどういう反応か知りたかった。
政府が発表した教員数減少に反対での抗議だが、政府側の言い分は、子供達の数が
減少していること、出費を減らすため、定年退職者として去っていく教員を
そのまま同数補充しないで、人数減少する。
又、現職者には仕事量を増やして、ペイアップを図る。
当然、賛否両論でこれ以上働きたくない、と答える教員も多い。

テレビで学生代表の17歳少女が、ジャーナリストの質問にマイク片手に答える様は、
とても17歳には見えない。まるで政治家が話しているような台詞で、
白々しさを感じてしまった。
メイエ村に来た2人の学校には(違う学校)過激な子はいないらしいが、
共に今年6月のバカロレア試験が大事な時に、授業がなくなったりして迷惑受けている、と言う。
大学進学のためには、国家試験のバカロレアに合格しなければならない大事な試験だ。

デモやストライキは、何時ものことながらバカンス時には無いので、高校生のデモも
勿論4月から始まったゴールデン・ウィーク期間中は、静かにしていて
暫く動向がつかめない。
思い出すのは丁度40年前、未だフランスに着いて日が浅い5月に起こった、
Mai '68(メ・スワサント・ウィット)、例の5月革命だ。
労働者と大学生がストライキして、最終的には当時のド・ゴール政権を消滅させた、大革命。
結果的にはフランス社会に大きな変化をもたらしたが、今の高校生のストライキを見ると、
5月革命から
丁度40年と言うことが、何か後ろで操っているのでないかと、
つい考えてしまう。

区切りのいい記念年、と言うと5月14日は、旧パレスチナ領土を2分割して、
イスラエルとパレスチナに2分割するのを国連が認めて今年で丁度60年になる。
この2国が争うのは、そのずっと以前からの長い歴史があって、
今に始まったことではないが、今現在、尊い人命が亡くなるのは、
天災で命をなくすのとは違って何とかならないものかと思う。

もう一つ今年で60年になるのは、フランスの車、シトロエンがDeux Chevaux
(ドゥー・シュヴォー)を発売して丁度60年になり、大々的なドゥー・シュヴォー展がパリで開かれている。
発売になる10年ほど前から、プロジェクトが用意されていて、その頃の車4台残っているそうだ。
いよいよ発売スタート、と言う時に、第2次大戦勃発で、終戦を待って
1948年から発売されたそうだ。
実際にはフランスでの製造は40年近くされたが、その後ベルギー製、ポルトガル製が出たものの、
それらの製造がストップされてから既に20年近くなっているので、
40年間のベスト・セラーと言うことになる。
我々の世代なら殆ど学生時代に愛用した懐かしい車だ。

そして5月は税金申告の時でもある。
連休でのんびりした頭を切り替えて、誰もが真剣に期日に間に合うよう
申告準備している頃だ。

我が家の庭にも春から次々、花が咲いて和ませてくれる、1年で最も凌ぎ良い季節。
この間まで白い花が目立っていたのに、今回のメイエ村滞在中は
リラ、クレマティス、藤、アイリス、などブルー系の花が、バラやツツジや
西洋シャクナゲに混じって、幸せ一杯に咲き誇っている。
地震も台風もないフランスの田舎は、何処までも平和そのもので、のどかな物だ。


photo08
 
  メイエ村にて 2007年5月15日  IKUO


back  next


HOME